株式会社モルシス
ライフサイエンス部
部長 狩野 敦 (Kano, Atsushi)様 (写真左側)
東田 欣也(Toda, Kinya) 様 (写真右側)
池上 貴史(Ikegami, Takashi)様
株式会社モルシス 様 | |
| 株式会社菱化システム(現三菱ケミカルシステム株式会社)より研究開発分野向けのソフトウエアビジネスを承継。東京と大阪にセミナールームを持ち、ユーザーの皆様に常に最新の技術情報をお届けし、また、ご購入いただいたソフトウエアをより活用いただくための、情報発信と技術サポートを行っている。社名であるモルシス(MOLSIS)は、事業分野であるMolecular Simulation and Informatics Systemsに由来。 |
会議内容 | MOEフォーラム 2020 |
規模 | 統合計算化学システム「MOE」の最新情報と応用事例をご紹介するオープンフォーラム。 日本国内で100~150名、海外(東アジア)で100名 |
通訳ニーズ | 初のオンライン開催。オンライン開催のメリットを活かし、日本だけではなく、時差の少ない東アジアからも多くの方にご参加いただけるよう、国内の利用クライアント事例、MOEを提供する海外の開発スタッフのよる製品紹介など多彩なプログラムを日英の同時通訳をつけて実施。 |
通訳者・利用機器 | サイマルSクラス通訳3名・インタープリファイ |
会議形態 | 2日間 英語スピーカー4プログラム 日本語スピーカー11プログラム |
Web会議 | Zoomウェビナー |
継続的にご利用いただいているお客様が多いサイマルですが、今回お取引をスタートした株式会社モルシス様は、主催セミナーでは、今まで通訳のご利用がなかったとのこと。初めてのセミナーでの同時通訳の採用にあたり、どうしてサイマルと、インタープリファイを選んでいただいたのか詳しくお伺いしました。
〇今回開催されたのはどのようなセミナーですか?
狩野様:MOEは、「Molecular Operating Environment」の略称で、主に創薬、生命科学研究で活用されている分子設計を支援するためのソフトウエアです。カナダChemical Computing Group(CCG)社が独自に開発したSVL(Scientific Vector Language)を搭載する統合計算化学システムです。病気の原因タンパク質やウィルスを構成するタンパク質に作用する医薬品の他、検査薬、または農薬の設計などにも利用されています。
MOEによるコンピューターシミュレーションを行うことで、生体内でどの分子同士が、どのように、どの程度の強さで結合(作用)するかを予測して、創薬、生命科学研究に費やす時間とお金を大幅に節約することが期待されます。新型コロナウイルス感染症の治療薬やワクチンの分子設計にも活用され始めています。
https://www.molsis.co.jp/lifescience/moe/
サイマル:今回のセミナーの目的や、実施概要について教えてください。
狩野様:MOEフォーラムでは、主に日本の創薬、生命科学研究者向けに、MOEのユーザー、カナダCCG社の開発担当スタッフ、技術サポートスタッフによる計算化学分野の最新のトピックスを紹介しています。これまで、MOEフォーラムは、その前身であるMOEバージョンアップセミナーを含め、20年以上に渡り、毎年会場開催で実施してきました。オンライン配信は以前から考えていましたが、コロナ禍において、完全にウェビナー形式に切り替えたことで、ターゲットを国外、主に東アジア地域まで広げようと考えました。
サイマル:オンライン配信セミナーになることを、逆に機会ととらえてターゲットを広げたわけですね。
狩野様:今までは、100人規模の会場を借りて1日でMOEフォーラムを開催してきていました。1年前から会場を手配していましたが、コロナ禍によりオンライン開催に変更しました。モルシスは東アジアも販売ターゲットにしています。会場開催の場合、参加者はほぼ日本人でしたが、オンライン開催への変更に伴い、時差の少ない東アジアからの参加も広く募ることにしました。そのため同時通訳を依頼することはすぐに決まりました。日本人の参加者は、英語を理解する方が多いですが、東アジアで参加する日本語圏以外の方にとっては、日本語の講演を理解するためには日⇔英の通訳は必須だと考えました。
〇会場セミナーからオンラインセミナーへ。開催方式の変更で工夫された点を詳しく教えてください。
狩野様:従来の1日開催のプログラムをそのままオンラインセミナーで実施することは無理があったので、日程を2日間にして時間にゆとりを持たせ、海外のMOEユーザーの講演を増やしました。また、従来は休憩時間に行っていたソフトウエアのデモンストレーションを”バーチャル・ブース“としてプログラムに組込み、新機能をアピールする時間を多めに設けました。参加者からの質問は、ZoomのQ&A機能を利用して講演中に書き込んでもらい、質疑応答時間に弊社のスタッフが代読するという形式をとりました。
サイマル:セミナー募集や内容説明のサイトを拝見しましたが、非常にわかりやすく、緻密に準備されたことがうかがえました。準備中にサイマル側にも細かい点をいろいろと確認いただきました。参加される方の立場に立っていろいろと準備されたことと思います。準備段階で一番苦労されたのはどのような点ですか?
狩野様:オンラインセミナーは、すべてのプログラムに参加される方もいますが、関心のあるプログラムのみ参加される方もいます。そのため、当日は、各プログラムをスケジュール通りに進行させることにとても気を使いました。大規模なウェビナーは初めてでしたので、私たちもかなり手探りでした。Zoomウェビナーツールの運用習熟、遠隔地の講演者とのコミュニケーションの取り方、質疑応答の進め方など、何度もリハーサルを繰り返しました。
東田様:1分刻みで細かく台本をつくり、リハーサルを4~5回繰り返すことによって、細かい問題が見つかりました。それを都度修正していく形で準備をすすめました。また、サイトで集客する時点から、「日英同時通訳をつけること」「同時通訳を利用するにはインタープリファイの事前準備が必要なこと」のアナウンスをし、その時点でインタープリファイのマニュアルも集客サイトにリンクさせました。参加する方に対し、事前にインタープリファイの使い方を理解いただいた状態で本番に臨めたのが良かったと思っています。
サイマル:まるでセミナー参加者募集のお手本のようなわかりやすいサイトですね。
東田様:集客のためのサイトをつくること自体は、モルシスはシステム会社ですし、ITの知識も持っていますので、さほど苦労はなかったです。セミナー自体は20年くらいやっているのでノウハウは蓄積されています。オンラインセミナーは初めてなのでその点は社内で検討を重ねてブラッシュアップしました。
サイマル:セミナーの実績とITの知識が、ツボを押さえた事前のご案内につながっているのですね。事前の注意点などこれから導入を考えているお客様にとって、参考になるのではないかと感じました。
東田様:反省点としては、事後、Androidで聞いてらっしゃる方が、省電力モードやスリープモードなどで途切れるといったお問い合わせが何件かありました。モルシスの社用スマートフォンがiPhoneなので見落としてしまった点ですが、あらかじめわかっていたことなので事前にアナウンスすればよかったです。
これからオンラインセミナーを行う方は必見! MOEフォーラムの2020セミナーサイト
https://www.molsis.co.jp/seminar/moe_forum2020/
MOEフォーラムの2020 開催内容報告
https://www.molsis.co.jp/wp-content/uploads/moe_202010.pdf
池上様:参加されるお客様からインタープリファイは、Wi-Fiを利用しない場合どのくらい通信量がかかるのですか?などの質問はありましたね。
サイマル: 1分間に最大で4MB程度です。そのようなご質問に対応できるよう、サイマルではホームページにインタープリファイについてのよくあるご質問(FAQ)も設けています。ぜひご活用いただければと思います。
〇当初はZoom言語通訳機能を検討されたとのことですが、インタープリファイにした決め手を教えてください。
狩野様:当初、Zoomの言語通訳機能を利用しようと考えていましたが、初期段階で言語通訳機能を使いながらのZoomウェビナー進行は難しいと判断し、インタープリファイを利用することにしました。
Zoomの言語通訳機能を使うには、主音声と通訳の切り替えが必要で、主催者側の操作だけではなく、参加者も操作が必要です。今回は日本語プログラムと英語プログラムが入り混じっているため、ウェビナー進行以外に通訳の運用の切り替えも行うとなると、主催者側の運用ハードルがあがります。参加者側にも言語を切り替えていただく必要があり、操作がとまどいなくできるかというところも不安でした。これはちょっと難しいなと判断しました。
サイマルは、同時通訳付きの国際学会の利用を通じて以前より存じ上げていました。弊社で通訳を依頼するのは初めてのことでしたので、数社から情報収集しましたが、専門性の高い分野での通訳をして頂けること、インタープリファイはオンラインセミナーで主催者として運用負担を軽減できそうなこと、参加者にとっても操作が簡単で、コンピューターからの主音声を聞きながら必要に応じて通訳音声を手元のデバイスで聞くことができ、参加者にとっても、主催者にとっても負担の少ないインタープリファイを選択しました。
東田様:ウェビナーの操作にも慣れていないなか、通訳運用部分をすべてサイマルにお任せできるのは本当に助かりました。準備に準備を重ねたのですが、本番で進行がスムーズにいかなかった部分もあり、もし通訳運用の部分もインタープリファイ無しで自分たちがしていたらと思うと・・・。サイマルに全部お任せして行えたのは本当によかったと思っています。
◆モルシス様が実践したオンラインセミナーのノウハウまとめ
1.オンスケジュール進行を厳守するための入念な準備 |
2.既存のやり方にこだわらず、「オンラインセミナーだからこそできる」やり方に |
3.参加する人の立場にたった事前の情報提供 |
4.任せられるところはプロへ |
〇初めて同時通訳を利用されたということですが、サイマルの通訳はいかがでしたか?
東田様: MOEフォーラムでの講演では、医薬、化学、バイオ、AIなど内容が多岐にわたり、専門性も高かったのですが、大変満足のいく通訳でした。通訳の方には準備に相当の時間を費やしていただいたのではないでしょうか。セミナー後のアンケートでも、参加者から「よい通訳だった」という声をたくさんいただいています。
狩野様:サイマルは通訳では老舗ですから名前は存じ上げていました。今回初めての取引ですが、担当のコーディネータの方には、丁寧に細かいところまでやりとりさせていただき、本当に助かりました。
サイマル:ありがとうございます。今回は医薬関係に強いSクラスの通訳者をアレンジしています。早めに資料をご提供いただけたので通訳者もしっかり準備ができました。お役にたててよかったです。こちらからのご質問にも迅速にご対応いただきありがとうございました。
狩野様:今回は日本語の講演が多かったので、海外からの参加者からは同時通訳がとても喜ばれました。 また、インタープリファイは操作も簡単で、音声も安定していて、その点も好評でした。いままでの経験からも通訳というのは通訳用のデバイスをつけて聞くというのが普通の感覚なので、主音声は主音声で聞き、通訳が必要だと思ったら、通訳デバイスをつけて聞くという点で、インタープリファイは全く違和感がありませんでした。むしろ、中身はデジタルですが、人の感覚はアナログなので、この形はすんなり対応できるという印象を持ちました。
また、インタープリファイの操作画面をみたときに、ものすごく簡単だなと思いました。パスワード(トークン)を入れると、その次の画面では英語か日本語かを選ぶだけです。言語の切り替えをするとすぐ切り替わりますし、音声品質も問題ありませんでした。
サイマル:サイマルでは、利用をご検討中のお客様に実感をもっていただけるように、インタープリファイ利用のオープンセミナーなどの視聴の機会をご案内していますが、準備段階で、世界銀行様が主催したオープンセミナーの通訳をご視聴いただけたそうですね。
狩野様:事前に音声テストの機会は持たせてもらいましたが、実際の世界銀行セミナーでインタープリファイの通訳を聴講し、より、インタープリファイで対応できると実感しました。体験してみると、主音声をPCから聞き、手元デバイスで通訳音声を聞くという方法にすぐ馴染むことができました。
東田様:私はその世界銀行セミナーを出張中の新幹線の中で聴講しました。新幹線の中でも全然問題なく視聴できました。とても良かったです。
サイマル:場所を選ばずにセミナーを聴講できるというのも オンライン開催のメリットですね。
狩野様:来年も引き続き、MOEフォーラム2021を開催予定です。東アジアからの参加者は増えると思いますので、今回の開催の経験を活かし、さらに内容の充実した企画をするつもりです。今後ともよろしくお願いします。
サイマル:本日は貴重なお話をありがとうございました。
(取材日:2020/10/7)